R7福井県医療的ケア児者を地域でどう支えるか
シンポジウム事前質問への回答
第2回「医療的ケア児者を地域でどう支えるか」シンポジウムにご参加頂いた皆さま、事前に質問を寄せて頂いた皆さま、大変有難うございました。
事前に頂いた質問にお答えする時間が確保できなかったため、センターのHP上で回答させていただきます。また今回のシンポジウムでとりあげた諸問題に関するセンターとしての現時点での見解を以下に記したく存じます。
頂いた質問は大体4つの系統にまとめられるように存じます。
1.医療的ケア児者をとりまく社会資源に乏しい
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放課後等デイサービスがない、あるが入れない
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就学、就園に際し希望の学校や園に入れない、地域にない
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看護師が確保できない
令和3年に施行された医療的ケア児等支援法案では、放課後等デイサービスや保育環境の整備は、都道府県、市町村などの自治体の責務とされています。その整備は法律上で義務とされているので、当然その自治体の担当者が対応を考えるべき事案です。担当者とは自治体の医療的ケア児等支援コーディネーターで配置も義務付けられていて、住民票のある居住地での担当コーディネーターとの話し合いがまず必要となります。ここまで医療的ケア児者支援センターとしての公式発言です。
実際に医療的ケアが可能な放課後等デイサービスを新規に設置しようとすると、役所が自身で運営または民間委託ということになります。いずれにせよ、看護師・保育士・指導員等の人材確保、事業所の場所、経費の確保など自治体にとって考えなくてはいけない事ばかりです。特に役所も学校もそうですが予算がない限り動けませんので、放課後等デイサービスなどの設置に関しても必要となる2年前から動く必要があり、これは今回のシンポジウムでお見せしたカンファレンスのシミュレーションの通りです。
まずは事業所側のコーディネーターと話をして、行政側のコーディネーターを含め地域でカンファレンスを行い、困っている事・対処法などに関して情報共有し、その時に解決しなくても諦めずに探っていくことをお勧めします。
2.医療的ケア児者を取り巻く環境での情報をどのように取り入れるか
地域で医療的ケア児者をとりまく環境などに関してカンファレンスを行う一方で、当センターでは福井県全域の自治体の医療的ケア児等コーディネーターの代表者会議を定期的に行っており、各市町の取り組みや事例の報告にて共有を図っています。
この基礎となるのは各々の症例でのカンファレンスや、そこに参加された関係者などであり、例えば嶺南や南越などでの地域での連絡会は既に始まっています。直接当センターに尋ねて頂く事も可能ですが、地域の特性もありネットワークづくりが一番大切と考えます。
3.通学・通園支援の問題
特別支援学校への通学に際しスクールバスに乗車できないという問題のみならず、居住地での就学をご希望の場合に近くの学校へは通えず、市内の指定の学校や園への通学・通園となる場合においても通学支援の課題はでてきます。
スクールバスに毎日乗車できている都道府県もあります。ところが大都市以外の自治体ではそのような対応ができていないのが実情で、そのような府県が大多数を占めます。そのような中で生まれてきたのが介護タクシーを利用しての通学支援で、まだ児あたり年間10回のチケットでしかありませんが、当然ですがないよりはよい状況で、運用を重ねながらその中で浮かぶ問題点の整理などを行っているところです。学校を通じてのチケットは10回ですが、ふく育タクシーでの10回分の利用も可能な筈ですので、担当部署へのお尋ねを勧めます。
その地域での介護タクシーの確保、同乗する看護職員の配置、タクシー乗車中の緊急事態での対処法の確立、研修体制の整備、財源の問題など課題は多く見られますが、始まったばかりの事業でありまだまだ手探りの状況です。使いながら改善していきましょう。なるべく訪問教育だけではなく、学校という場での医療的ケア児への教育がふさわしいと考えている学校関係者も多いのです。折角はじまった試みであり、育てていくことにセンターとしても協力しています。
4. 連携をとるにはどうすればいいか
医療的ケア児者を取り巻く環境で、カンファレンスを行い課題解決や情報共有に努めるというのはよくある手段です。今回のシンポジウムではその時期や標準的なやり方をシミュレーションの形でお見せしました。
でも、毎回保護者、医療、教育、福祉、行政、相談支援専門員などが集まって話し合いができればよいのですが、そういかないのが普通で、参加できる人のみでの話し合いでも決して悪くはないです。話し合いを続けることと、連絡ノートを作って各機関の間で情報を共有する事をお勧めします。その場合、保護者が医療機関を受診する際に連絡ノートを持参するのを忘れないことと、主治医に一言書いてもらうのがポイントとなります。
5.その他の個別のご質問
Q. 家族が全てを抱え込まなくてよい支援体制はある?キャパシティは足りている?
A. キャパシティはいつだって足りません。支援体制は作るものです。
Q. 訪問看護ステーションと園・学校が契約などをしているケースはあるか
A. 市町の担当者や、福井県高校教育課へお尋ねください。
Q. 指定難病の子は知能や発達に問題がなくても難病だということで(就学などに)不利になることはあるのか?
A. その難病の医療行為のために普段の生活に制限がかかるかが問題です。
問題がある場合に、事前相談を行い合理的配慮に努めてください。
Q 特別支援学校判定をお持ちのダウン症児が入学してくる。どんな配慮が必要か?ダウン症特有の配慮とは?
A. 医療的ケア児者支援センターとして回答する質問ではありません。ご家族、主治医とご相談ください。
Q 就学に関する事など就学先の立場としては言いづらいことは、県がきちんと説明してほしいが、うまくできておらず不備な部分があり園や学校任せになっていることがあるが、どう思うか?
A. まず担当市町の教育支援委員会や教育委員会と協議することが先決です。
そ こが機能しないというのは、行政側のコーディネーターが活用されていない状況かと考えます。コーディネーターを交えて言いづらい事こそ関係者全員で話し合う必要があります。

文責 福井県医療的ケア児者支援センター長 津田英夫